「あれ、これ、隣の教習所ですよね?」
『〇〇教習所』とプリントされた袋を指さす。
「うん、車の免許くらい持ってた方がいいかなって」
それに、運転できた方がこの前みたいなことなくなるし
と付け加えて少し後悔する。
ついさっきまで、頼ってくれと言われたばかりなのに。
それに、あの日、航平が気持ちよさそうに運転してる姿が気持ちよかった。
ああやって運転できたらかっこいいなあ。
航平は特に気にするそぶりはなく、
ちょっと見せてとパンフレットをめくる。
「オートマとマニュアルどっち取るの?」
「迷ってて。航平くんマニュアルだよね」
「うん」
「マニュアルって難しいんでしょ?オートマとどっちがいいと思う?」
「んー、女の人は正直オートマでいいと思うんだけど、マニュアルとった方がオートマ練習できる時間あるんです。でもオートマ取っちゃうとマニュアルは乗れないから」
女の人は、という言葉にちょっとだけ嫌な気持ちになる。