もう大丈夫。と、成海はやんわり練の手を止める。
「そう?」
小さく頷くと、
「俺今日仕事休もうか?」
精一杯の笑顔を作って練に向ける。
「大丈夫」
練は安心したように小さく息を吐き、
立ち上がった。
3日ぶりの休み。
お昼近くまで寝ようかと思っていたが、
7時に起床。
8時に家を出る。
2つ先の駅にある自動車教習所へ向かう。
教科書のパンフレットと入所申し込み書をもらって
次は地元の本屋さんへ。
ちょっとだけ自分のバイト先を覗いてみる。
中で接客している航平の姿が。
この間、荷物を運んでもらったことを思い出した。
車の微かな芳香剤の匂いと、
重い段ボールを軽々持ち上げてくれた時。
次の出勤でお礼を言わないと。
再び歩き出そうとすると、
ショーケースから顔を上げた航平と
目が合ってしまった。