成美のスマホから着信音が流れる。

「え…」

そこには、『西野 幸人』と表示されている。



心臓の鼓動が早まってくるのがわかる。



恐怖と、少しだけの期待。



震える指先で電話に出る。


「…もしもし」

『もしもし、俺』

「…うん」

『あのさ…』


幸人の久しぶりの声。

聞きたくて聞きたくて、堪らなかった。

会いたくても、どこに行ってしまったのと

探したくて、でも探すのは怖くて。

あなたの子供が出来たよと

そう伝えると

あなたは何も言わずにわたしの前から消えた。

今どこにいるの?

何をしてるの?

元気?