航平は、シートベルトを外すと車を降り、
重いはずの段ボールを軽々と持ち上げる。
その姿にふと、異性を感じた。
「わー、何入ってるの、これ」
「わかんない」
はるかはそう言って笑う。
ちょっと持ってて、と、はるかに段ボールを
渡し、後部座席のドアを開け段ボールを入れる。
「え?え、いいよ、大丈夫だよ」
「今日の最高気温知ってます?38度」
航平はそう言うとドアを閉める。
「段ボールこれだけ?」
「あ、ううん、あと4つ」
「4つ?!理子さん鬼だなあ」
そう言って笑う航平の笑顔はもう、
陰りはなくなって、
いつもの眩しい、いつもと変わらない航平だった。