その少女は、死の天使と呼ぶには似合わない、無邪気な笑顔で微笑んでいる。
「いい三日よ。その時が来たら、死神さんがあの世から、あなたをとっても大事に思っている人を連れて、あなたを迎えに来てくれるから安心して死んで平気だからね!」
「安心して・・・死ねるかよ!」
そう口にしたと同時に、俺はその夢から覚めていた。
当然あの死の天使の影も形も、もう何処にもなかった。
どうやって死ぬのかを、訊き忘れた。おい天使さんよぉ~、俺の最期はどうなるのか教えてくれよ!
「今回は、あなたが予め決めていた通り、会話中の突然死よ!」
耳元で、あの死の天使の声が囁いた。

誰かにこの話をしようとした瞬間に死ぬ?
妙にリアルで、話せそうにないな・・・

そうだ、三日過ぎたら話せば良いんじゃないか!なんだ、三日の辛抱だ。
俺はそう考えて、気を取り直しいつも通り会社へ出かけた。

その日の午後、友人から電話がかかって来た。
「おい、今週末の予定はどうなってる?金曜日辺り呑まないか?」
俺はその時、すっかりあの夢のことを忘れていた。
「金曜日、OK空いてるよ!」そう云った瞬間、思い出してしまった。
「金曜日って3日後だよな、ちょっと待ってくれ・・・」
「何だよ、予定でも入ってるのかよ?」
俺は、あの夢の話をしてしまおうと思った!
「あのさ・・・」
その瞬間、息苦しさと同時に目の前に、一目でそれと解るような黒装束の像が浮かび上がった。

終わり