死の天使
その少女の背中には黒い小さな翼がある、その子とは、過去にも何処かで逢ったような気がする。
「ねぇ、今日はあなたにとっても大切なお知らせを届けに来たの!」
そうか、コレは夢だな。だから過去にも逢ったことがあるような気がするんだな!。
俺は妙に納得して、このまま夢を見続けようか、それとも眼を開いて覚めてしまおうか、ちょっと迷った。
「いい、良く聞いてね、あなたは今日から三日以内に死ぬのよ」
こんなことなら、眼を開けてしまえば良かった。縁起でもない、今からでも遅くないか?
そう考えている間に、黒い翼の少女は話を続けた。
「心配しないで大丈夫よ。過去に何度もあなたは死んでいるし、またそのうち生まれ変われるんだから、何にも怖くはないわ」
「悪い冗談は止めてくれよ。いくら夢だって、こんな夢は見たくないもんだぜ!」
「残念だけど私は本物の、死を伝える天使なの!」
「それじゃ訊くけど、誰にでも死の三日前に教えに行ってるのかい?」
俺は、どうぜ夢なんだし、いろいろと訊いてるうちに目が覚めるだろうと思って開き直っていた。
「そうよ、でも人それぞれに、担当の天使が決まっているから、全ての人に私が伝えに行くわけじゃないわ。私があなたの担当になってから、そう今回で5回目、おぼえてるかしら・・・」
そう云われてみると、何度も逢っているような気がしてくるから不思議なモノだ。
「でも俺、死の天使の話しなんて初耳だぜ?」
「ふふぅ・・・それは、死の知らせの話を他人にしよとした瞬間に、みんな死んじゃうから話せないのよ!」