「最後だね」


「そうだね」


ニコッと彼女は笑い、それにつられて僕も笑う。



いつも僕達は、巡る世界に入るには時間がかかるので、ここで他愛もない話をした。


きっと、彼女を好きになったのは、一目惚れなんだろうけど、この時間で、よりかけがえのない存在になったことは確かだ。


今日も、最後だというのにいつもと変わらない話をした。


この犯罪を防いだら…きっと、僕も彼女も消えるのに……もう会えないのに……。


そう思っていると、彼女は急に話した。


「あのね」


「うん?」


「好きだよ」