「あの、坂本さー」
「あ!すみません!私急いで帰らないといけなくて!」
「え、いや…」
「それじゃぁ、お疲れ様です!また明日!」
そう言って勢いよく頭を下げた後、
幸せそうな笑顔を見せた坂本さんは走って行ってしまった。
…何故どいつもこいつも俺の話を聞かない。
と言うよりも原因はこいつなわけで、
「安来お前どういうつもりだよ!」
「いやぁ桃華ちゃんは勇気あるよなー!」
「どうするつもりだよ、これ。」
「いいじゃん、龍之介、彼女も好きな人もいないんだし。」
安来はケロッとした顔でそう言い放ち、
さぁ帰ろうぜー、と言って歩き始めた。
確かに彼女はいない。
好きな人は…居たとしても安来達には言うつもりはない。
だからと言って、この展開はおかしい。
そんな事を思いながら、
他の皆も歩き始めた為、俺も歩き始めた。
皆の後ろをついて行きながら、
もしこの場に望月が居たら…何か変わっていただろうか…
こうなってしまっては無駄な事だが、
そんな事を考えをしながら帰路に着いた。