「七瀬先輩。」

「あ、龍之介くん。」






はっきり言うと、嫌な顔をされると思った。

でも先輩は俺の名前を口にしながら、

柔らかく微笑んだ。

その笑顔が嬉しい、と思ったのはきっと久々に七瀬先輩の笑顔を見たせいだと思う。







「卒業、おめでとうございます。」

「あっ!色紙…貰えないと思ってた。」






そう言いながら、ふふふと笑った彼女は相変わらず可愛かった。

3年の皆色紙貰ってるのにあたしだけ無いのかと思っちゃった、と

俺の事を見て笑いながら意地悪な感じで言う。






「龍之介くん、部活…頑張ってる?」

「え?あ、はい…」

「そっか。これからも頑張ってね。」







七瀬先輩はそう言って笑っていたが、

どこか寂しそうな顔をしていた。