むかしむかし、ある小さな小さな村に若い夫婦がおりました。

その夫婦には子供ができず、毎日毎日、神に祈りをささげておりました。

ある日のこと、夫婦が神に祈る礼拝堂の帰り道、1匹の黒い大蛇に出会いました。
大蛇はなんと、家に帰る一本道を塞いでおりました。

夫婦は頼みました。

「どうか、そちらの道をあけていただけませんか。
私たち夫婦はそちらの道を通らんと家へ帰ることができないのでございます。」

大蛇は、

「ならば我そなたらの子を差し出せ。
我は今、とても腹がすいておる。」

と答えました。
夫婦は驚き、そして残念そうに顔を歪め言いました。

「申し訳ないですが、私たちには子供がおりませぬ。どうかこの森で捕まえたねずみで許していただけないだろうか。」

すると蛇は、口から杯を出し、虹色に光る不思議な水を女に差し出し、言いました。

「ならば今はそのねずみで我慢してやろう。そこで女よ、この水を飲み干すが良い。きっと子供を授かることだろう。それも、うむ。五人ほどかもしれん。そして、その子供が十五になる頃、小国でもよい。国を作らせよ。」

と。