メール受信箱を開くと何十件…
「やばい…」
お兄に怒られるーーーー!!
歩いて5分で着く短い距離も走れば1分もかからない。
急いで家に帰ったが、門前で仁王立ちしているお兄…
中へ入って見事に怒られた。
お兄はここで唯一の肉親。
だからかな?父親みたいな厳しさがあるのは…。
「美ー紅ー」
うざい…
やっぱり前言撤回。
父親みたいじゃない、もはや父親そのもの。
「お兄…そんなにシワ寄せてると老けるよ?」
あ、口に出しちゃった。
ワナワナと震えだすお兄の顔は既に真っ赤で…
「…誰のせいだと思ってんだよ!」
「はい、私ですね、はいはい。じゃ、私お風呂入ってくるね~」
私はお兄を軽くあしらいお風呂へ逃げた。
だってめんどくさいし~♪
「おおおーい!おまっ、ちょっ…」
「健一様、例の件でお話が」
「…ったくよ!わかった、って、浩、”様”はいらねぇよ。フツーに呼べって何回言わせるんだよ」
「いや、そーゆうわけには…」
「堅苦しいの苦手なんだよ、二人の時は幼馴染として話せって何回言わせるんだよ」
「…じゃあ、今は幼馴染みとして言うけど、美紅ちゃんにあんま言うと離れていくぞ。」
「えっ、いや!そんな言ってないし!怖いこと言うなよ」
「美紅ちゃんもう高校生なんだから、少しは見守ってても大丈夫なんじゃないか?」
あぁ、もう高校生か…
「そうだな……、あ、で?あの話は中でするか…さみぃからとりあえず中入ろうぜ」
二人はそんな会話をしながら家に入った。
雷龍のあいつらに誘われた日から2日後の朝ことだった。
いつものように学校に向かおうとすると…
「みーっけ♪」
なっ、
学校まであと数メートルの道の角にそいつは突然現れた。
「美紅ちゃんおひさ~!」
おひさ~!じゃない。
「なんで京斗がここにいるの」
「いやいや、電話もメールも無視されたらフツー会いに行くでしょ!」
普通って何…。
まぁ無視してたのは事実なんだけど。
っていうか、なんで…
「なんで同じ制服着てるの…」
「なんでって…そりゃあ、美紅ちゃんと同じ学校だから?」
はぁ?
開いた口が塞がらないってこういうことかな。
「あははっ!美紅ちゃんマヌケ面!!そんなとこも可愛いけど!」
うわ
やっぱり京斗はチャラ男だ。確定。
「ち・な・み・に!剣も同じ美紅ちゃんと同じ学校だよ~」
…あぁ、無愛想な剣もなのね。
って‼どゆこと!!?
「そんでもって、俺と剣は今停学中♪」
語尾に音符がついているかのような風に話す京斗に疑問をもつ。
「停学中って…」
じゃあなんでここにいるのよ。
「入学早々ちょーっと暴れちゃったらすぐこれだもん…はぁ~」
それ、自業自得なんじゃ…?
「なんで停学中の京斗が制服着てここにいるわけ?」
「だーかーらっ♪美紅ちゃん待ってたの~制服はなんていうか他の奴らに紛れるため?みたいな」
答えになってない…
「じゃあ行こうか」
腕をグイッと掴まれ学校とは反対の方向へ引っ張られていく。
「はっ?ちょ、まって学校は!」
学校に行くために制服着てるんじゃない訳じゃないの!?
てか、あと5分で授業始まるんですけど…
「学校より楽しいとこいこ♪」
はぁーーー?!
やり取りをしているうちに学校が遠くなってなんだか見覚えのある風景にハッとする。
まさか。。。
「溜まり場に行こうとしてんじゃないでしょうね?」
ぴたっと京斗の動きが止まってこちらへ振り向く。
「あーやっぱバレちゃう?」
何て言いながらもまた足は動いて。
これは私が同意してないから拉致だよね…完全に。
「犯罪だよ、拉致は」
「はっ!?…いやいや、冗談よしてよ美紅ちゃん」
いやこっちのセリフだから。
冗談は京斗のキャラで十分…
今はそんなこと考えてる場合じゃなかった。
「さーって、着いたっと」
って、もう着いたし…。
ぐいぐい腕を引っ張られて数分もしないまま溜まり場についたようだ。
学校から溜まり場って近いんだね~
通学楽じゃん♪
って!!だから、そんなこと考えてる場合じゃ…
「悠~!!つれてきたよ~」
家の中に入った瞬間大きな声で京斗が喋り出した。