「この話は一旦保留だな♪なあなあ!美紅ちゃん~ケー番教えて~」
京斗は私の肩に手を回し体をくっつけてきた。
…やっぱり京斗って…
「チャライわね」
「へっ!?嫌だなぁ~美紅ちゃん!そんなことないって~!」
この軽さといい…どう考えてもチャラ男の行動と言葉…
「今後、何かあったときや姫になる時に備えての交換なんだから!」
そう言われても少し警戒しちゃうのは多分本能だよね。
「…気を付けた方良いよ。そのうち襲われるかも…(二人に(ボソッ))」
え?最後何て言ったの?
剣冶は本当に最後聞き取れないくらいの小声で何かを言った。
そして今度はずっと静かだった叶がガタッと椅子から立ち上がった。
あれ?少し機嫌悪い?
最初に会った時のキレてる感じに近いような雰囲気を漂せている叶。
「…調子に乗りすぎたな」
少し京斗の顔が青いのは気のせい?
「じゃあ、姫の話考えておけよ。それから…家まで送っていく。」
「あっ、いいよ!ここから結構近いし」
「いいから、美紅ちゃんは悠君に送らせてもらいなさい!」
少しオネエが入ったような口調で京斗が私の背中を押す。
「はぁ…ここまで来ればもう平気よね」
流石に家の前までは送ってもらうことは出来ず、
私は無理やり叶と別れた。
あっちは怒って何度も追い掛けてきたけど
私だって一応運動は出来る。
あんなガキを撒くなんて簡単だ。
あと少しで家に着くっていう距離のところで
ブーブーと、携帯の振動がカバンに響く。
って!もう20時!?
携帯の時計をみると20時を示していた。
どうりでちょっと暗いな、って…そんなことよりも!
メール受信箱を開くと何十件…
「やばい…」
お兄に怒られるーーーー!!
歩いて5分で着く短い距離も走れば1分もかからない。
急いで家に帰ったが、門前で仁王立ちしているお兄…
中へ入って見事に怒られた。
お兄はここで唯一の肉親。
だからかな?父親みたいな厳しさがあるのは…。
「美ー紅ー」
うざい…
やっぱり前言撤回。
父親みたいじゃない、もはや父親そのもの。
「お兄…そんなにシワ寄せてると老けるよ?」
あ、口に出しちゃった。
ワナワナと震えだすお兄の顔は既に真っ赤で…
「…誰のせいだと思ってんだよ!」
「はい、私ですね、はいはい。じゃ、私お風呂入ってくるね~」
私はお兄を軽くあしらいお風呂へ逃げた。
だってめんどくさいし~♪
「おおおーい!おまっ、ちょっ…」
「健一様、例の件でお話が」
「…ったくよ!わかった、って、浩、”様”はいらねぇよ。フツーに呼べって何回言わせるんだよ」
「いや、そーゆうわけには…」
「堅苦しいの苦手なんだよ、二人の時は幼馴染として話せって何回言わせるんだよ」
「…じゃあ、今は幼馴染みとして言うけど、美紅ちゃんにあんま言うと離れていくぞ。」
「えっ、いや!そんな言ってないし!怖いこと言うなよ」
「美紅ちゃんもう高校生なんだから、少しは見守ってても大丈夫なんじゃないか?」
あぁ、もう高校生か…
「そうだな……、あ、で?あの話は中でするか…さみぃからとりあえず中入ろうぜ」
二人はそんな会話をしながら家に入った。
雷龍のあいつらに誘われた日から2日後の朝ことだった。
いつものように学校に向かおうとすると…
「みーっけ♪」
なっ、
学校まであと数メートルの道の角にそいつは突然現れた。
「美紅ちゃんおひさ~!」
おひさ~!じゃない。
「なんで京斗がここにいるの」
「いやいや、電話もメールも無視されたらフツー会いに行くでしょ!」
普通って何…。
まぁ無視してたのは事実なんだけど。
っていうか、なんで…
「なんで同じ制服着てるの…」
「なんでって…そりゃあ、美紅ちゃんと同じ学校だから?」
はぁ?
開いた口が塞がらないってこういうことかな。
「あははっ!美紅ちゃんマヌケ面!!そんなとこも可愛いけど!」
うわ
やっぱり京斗はチャラ男だ。確定。
「ち・な・み・に!剣も同じ美紅ちゃんと同じ学校だよ~」
…あぁ、無愛想な剣もなのね。
って‼どゆこと!!?
「そんでもって、俺と剣は今停学中♪」
語尾に音符がついているかのような風に話す京斗に疑問をもつ。
「停学中って…」
じゃあなんでここにいるのよ。
「入学早々ちょーっと暴れちゃったらすぐこれだもん…はぁ~」
それ、自業自得なんじゃ…?
「なんで停学中の京斗が制服着てここにいるわけ?」
「だーかーらっ♪美紅ちゃん待ってたの~制服はなんていうか他の奴らに紛れるため?みたいな」