「うん、」
そう、あたしが男の人に誘われてたのは街中。
煌びやかな街のとあるお店の片隅にすぎない。
だからだよね、こんなに目立つのは。
それから彼らに付いて来てと言われ
言われるがままに付いていくことにした。
大丈夫だよね、あたし強いし…
それにいざとなったら電話すれば駆けつけるとか言ってくれたから…。
私は3人の彼らの後ろ姿を見ながらついていった。
ぐいっ
「ひゃ」
いきなり腕を捕まれグイグイ引っ張られていく。
なになに、何事?!
「ちんたら歩いてると日が明けそうだ」
ち、ちんたら~!?
こっちは考えてたのよ!
初めてあったあなたたちを端から信用するわけないし、
それにあなたたちは…
「早く行くぞ」
雷龍なんでしょう?
「さあ、着いたよ」
歩いて5分、京斗は白い建物の前に立ち止まった。
そこには3階建ての大きな家?が堂々と建てられていた。
「って!ここどこよ!着いたって、誰の家!?」
「隣でギャーギャー喚くな。俺の家だ、文句あるのか」
そう偉そうに言うのは、
やっぱりガキにしか見えない金髪メッシュの男の子。
隣でって…
「そっちが引っ張っていったんでしょう!?」
ていうか、コイツんち何者ですか…家でか過ぎ…。
「あーもううるせぇ、俺は先入る。後は頼んだ」
パッと腕が離れ、白い建物に入っていく金髪少年。
自分勝手すぎる…自由人か。
「ぷはっ、やっべぇー美紅ちゃん最高すぎる!…で任せられたけど、剣どうする?」
またしても笑ってるのは京斗で、剣冶に振り返りながら聞く。
「…どうするも何も、家の真ん前なんだからとりあえず中入るだろ」
正論だ。
剣冶は笑ってる京斗をスルーして玄関を開けた。
「…」
え、あ…入っていいの?
首を傾げると、どうぞと言う顔をする剣冶はまるで紳士である。
「ちぇっ、本当はそーゆうのは俺の柄なんだけどな」
ブツブツ言っている京斗を無視し、
白い建物に足を踏み入れた。
すると、目の前に広がった光景は…
洋風の屋敷のよう。
シャンデリアがあって…階段には赤いじゅうたん…。
別世界に入り込んだかのような…すごく不思議な感覚になった。
ここほんとに族の溜まり場?
家にしか見えないんだけど…。
「親とかいないわけ?ってか、ここほんとに何」
「は?雷龍の幹部のみの溜まり場だけど?」
シラッと冷静に返したのは私の横に居た雷龍の総長、叶。
イラッとするも、なんとか耐えて冷静に「ふぅん」と返した。
玄関を通ってすぐの扉に案内された部屋には大きな最新型のようなテレビと大きな縦長テーブル、雷龍の幹部と総長分らしき椅子が置いてあった。
ここはきっと、皆が集まって食事する場所ね。
周りをぐるっと見渡しながら観察していく。
すると、剣冶が私の近くにあった椅子を引いてくれた。
これは座れと言う事なのかな?
まぁ、話をしにここに来たわけだし立ち話も疲れるしね、
と一人で納得しながらゆっくりと椅子に座った。
私が部屋に入る前から自分の席であろう椅子に座っていた叶は
ふんぞり返った様な様子でこちらをじっと見ていた。
な、なんなの?
っていうか!
「あなただけ自己紹介してなんいだけど!」
「言わなくてもここの地元のやつなら大体わかるだろ?」
カチン。
「あ、あんたねぇ~人に紹介させといてそれは無いんじゃないの?雷龍の総長だからって調子乗ってんじゃないわよ!」
「ほら、知ってんじゃん?」
ニコニコと嬉しそうな叶に対して私は軽くショックを受けた。
しまった…完全にのせられた。
でも、私間違ったこと言ってない!
そう思ってフンっと顔を思い切りそらす。
「まぁまぁ、美紅ちゃん!悠も、意地張らないで素直に名前だけでも自己紹介すればいいじゃん!
事を丸め込もうとするのは意外にも京斗で…。
「…悠、今ここで素直になっといた方が後々いい結果になる。(ボソッ)」
そう小さく呟いたのは私の近くにいる剣冶。
ボソッと言われても私には聞こえたのだけれど意味が分からず首を傾げた。
剣冶の声が聞こえたのか否か、叶が口動かす。
「叶 悠騎。雷龍の総長だ。」
ほら言ったぞみたいな顔をしている叶に
「よくできましたぁ~!」と何故か子供をあやすかのように叶の頭を撫でる京斗。
そして、蹴られていた。
…やっぱり、この人達はあの人達に無い良さがありそうだ。
二人を見ながら微笑んでいたことを私自信気づかないのであった。