「カイリ」

「………………」

「話は聞いておったな?

 出立の準備を手伝っておやりなさい。

 おお、それから、それまでの宿も必要じゃの」



ポンポンと勝手に決められていく旅立ちに、目も口も開きっぱなしだ。

私きっと、とんでもない事に巻き込まれてる。





「………………」

「な、なに?」

「………………」



私の横へ来て、視線だけを寄越してくる男。

その涼しげな目元からは、冷淡な印象を受ける。

確かさっきターセル町長がカイリって呼んでたな…

え、なに?また無視なの?



「カイリは極度の人見知りな気があるが、出来る奴じゃよ」

「………………」



ターセル町長にも何も言わないカイリ。

ただ、何も言わない代わりに尻尾が少し揺れている。



…嬉しいのかな?

嬉しくて尻尾振るとか…犬だな。

可愛いけど。