「モモセ、実はじゃ。

 ここから遠く離れた町に鬼共が出て、民が困っておるらしい」

「…はあ…」

「モモセにはその鬼を退治してもらいたい」

「…はぁっ!?」



いきなり何を言い出すんだ、この亀は!

亀のくせに!

そんな決まりきったみたいな言い方されても困るわっ。



「と言うのも、我が村には言い伝えがあっての。

 どこからか異形の者が現れた時、全ての災いを打ち消すであろ…」
「いやいや、ちょっとまって!

 私には何の関係もなくない!?」



なぁんでいきなりそんな事言われて、鬼退治なんかしなきゃいけないのよ…

私、そんな鬼退治とか出来ないし!

そもそも鬼っ!?

鬼ってあの鬼!?



「最後まで聞くんじゃ。

 …全てをなし終えた時、異形の者は元の世界に戻らん。



 つまり…、そういう事なのじゃよ」



訳知り顔をする亀が、凄く腹立たしい。

元の世界に戻りたいなら鬼退治をしろって…

めちゃくちゃも良いところだな。