「さて、異形の者よ」

そう話す町長は、亀でした。

普通なら、ギャーくらい言うところなのに、言わないですんだのは多分免疫が出来ていたことと…

こんなキャラクターを知ってるからだと思う。



私を拉致した男より、商店街にいた人間もどきより、より一層本物に近い亀。

ただサイズが普通より大きいのと、二足歩行…

正しくは杖を付いた三本足で立っている事を除けば。



さっきとはうってかわって殺風景な部屋に通されてすぐ、肩から下ろされた私。

その下ろし方も、壊れ物を扱うかのように優しかった。

まぁ…

だからって、無視して良いってことにはならないけどね。



「まぁ座りんさい」



そんな優しい声に、エサ要員じゃなさそうだと一先ず安心する。

想像してた中で一番最悪な事態は回避できたようだ。

言われた通りに近くにあった二人掛けのソファーに腰を下ろせば、真正面に亀…ターセル町長が座った。




「いきなりで驚いたことじゃろう」

「はぁ…、何から驚けば良いのかさえ分かりませんけどね」

「ほっほ、正直なこった」