トントン

この男がノックしただろう音に、肩がビクリとはねた。



「町長」

「……………」

「ターセル町長」

「…開いとるよ」



しわがれた声を聞いて、ドアの開く音がする。

そして、この男が部屋に入る事によって、必然的に私も中へと入ることとなる。

中はなんと言うか…とてもゴチャゴチャした部屋だった。



ここの特産物なのか、やたらと布が壁に飾られている。

そのどれもが暗めの色彩なのに、居心地の悪さを感じさせない、不思議な感覚だった。

他にも置物が雑に飾られていて、統一感は全くもってない。



「…異形(いぎょう)の者か…」

「ああ」

「こっちゃこい」



短い会話の後、また移動が始まったが…

………………。



ちょっと待て!

コイツ!言葉通じてんじゃんっ!

さっきまでのは無視してたなっっ!



そう言ってやりたいのを我慢して、肩に担がれながらもう一度ドアを見送った。