「んなっ!!?」

段々距離が出来ていくサイ人間が、こっちを見て口をあんぐりと開けている。

多分私も同じ顔をしてるけど。



足を止めることなく進むこの男のせいで、色んな物が私の目に飛び込んでくる。

住居であろう、シンプルすぎる建物が並ぶここは町のようだ。

果物や肉を並べてる店があれば、服を売ってる店もある。

それはいわゆる商店街みたい。



ただ…

ここは私の知ってる町とは決定的に違う。



…すれ違う皆が、真人間ではないのだ。

耳、ヒゲ、角、毛、体つき…

他にも皆どこか一部が、何かの動物の特徴を現していた。

何の動物か分かりにくいのから、もろ動物なのに二足歩行してたり色々…

そして、その全員が私を見て驚いている。



いつもは賑わっているだろう広めの商店街は、私達が通ることで異様なほど静かになった。



私を担ぎ上げてから、1度として止まることのなかったこの男の足が止まったのは、商店街を抜けて少し歩いてからだった。