どこまでも変わらなかった森に変化が出てきたのは、それからしばらくたってからの事だった。



何となく木の量が減ってきたような…

俵かつぎのせいで私の頭は後ろにあるから、遠ざかっていく景色しか見えないけど、それは気のせいじゃない。

そして、何となく道と呼べるような草木の生えてない地面が見える。



目的地が近いのかもしれない…

どんな目的地かも知らないけど…



今までにないくらい心臓が速く動いている。

怖い、と思った。

夢なら早く覚めてよ…

あまり物怖じするタイプじゃないけど、今は正直怖かった。



私を抱えた男は、そんな私の気持ちを察したのか、背中を2回、ポンポンと軽くたたいた。

そして、それが合図のように、風景がガラリと変わる。

まず視界に入ってきたのは開かれた門と、その横に立つ風変わりな門番だった。



何が変わってるかって、角の生えた顔にゴツゴツした身体が門を守るように2本足で立っているのだ…

それは、まるでサイのようで…

いや、サイだった。