口を開けたまま、柏木さんを見た。
柏木さんは何も気にしていないようで、いつも通りパソコンを見ている。
そんな様子にイラっとしてしまう。
少しくらい、動揺してくれてもいいのに。
あたし、柏木さんの彼女だよね?
「高柳君、柏木さんよりはいい男だね」
そう言ったあたしを、じろりと柏木さんが睨む。
そんな柏木さんを、気にしてはやらない。
高柳君は少し頰を染めてあたしを見る。
そして口を開いた時……
「南條……ちょっと」
柏木さんが立ち上がり、あたしを呼ぶ。
胸がとくんと音を立てる。
駄目だ、何をされても柏木さんが気になって仕方がない。
あたしの心はすでに、柏木さんでいっぱいなのかもしれない。