「柏木さんなんて、好きでも何でもない!」




あたしは叫んでいた。

前に柏木さんがいるっていうのに。

あたしは柏木さんと付き合っているというのに。

なんでこんなことを言ってしまったんだろう。

柏木さん、きっといい気しないよ。





「おい、南條……」




柏木さんは、あからさまに困った様子であたしを呼ぶ。

そんな柏木さんを見ることが出来なかった。





「そういうこと、言うんじゃねぇ」



「……」



「……チョコやるから」



「……いりません」



「じゃあ、かりんとうやるから」



「いらない!!」