どこへ行っても柏木さんの話ばかり。
こんな状況で仕事がはかどるはずもなく。
あたしは定時早々荷物を詰め、帰ることに決める。
柏木さんは自分の話でもちきりだというのに、気にするそぶりもなく。
「もうすぐ、高校時代の部活の同窓会があるんすよ」
なんて、先輩と話している。
「柏木君、何部だったんだ?」
「サッカー部っす」
あたしは心の中で悪態をつき、席を立った。
こんなあたしを、目ざとく見つける柏木さん。
「南條、帰るのか?」
いちいちあたしに聞く柏木さんに、
「帰ります。
が、柏木さんには関係ありません」
なんて可愛くないことを言った。