「カシタカの彼女、美人なんだろうな」
可奈は手を組んで、ぼーっとしている。
可奈も柏木さんに惚れていたのだろうか。
それとも、アイドルとして崇めているのだろうか。
どっちにしても、居心地が悪くて。
「あっ……あたし、急ぎの仕事が途中で!」
急いで食堂を出た。
あたしは、確かに柏木さんのことが好きだったけど……
なんで、こんなに振り回されないといけないんだろう。
四六時中、柏木さんのことばかり考えないといけないの?
柏木さんに彼女が出来たという話はなかなか鎮まらず。
どこへ行ってもその話題で。
おまけに、あたしの前の席にはすました柏木さん。
結局、退社時刻になるまで、ずっと気まずい思いをしていた。