「……悪い」




柏木さんはやっぱり合コンを断る。

そして、



「俺、彼女出来たから」



その言葉に、オフィスのみんなが驚いていた。

驚いて、柏木さんを見ていた。





オフィスの注目を集める柏木さん。

柏木さんは恥ずかしがりもせず、



「なんでそんなに反応するんすか?」



腕を組んで、周りを見回した。





そんな柏木さんの様子に、もちろんあたしも反応していた。

心臓がドキドキして、口から飛び出してしまいそう。

そして、顔が真っ赤になる。

柏木さんはあたしとこと、本気じゃないのに!!






こんなあたしを、目ざとく見つける柏木さん。



にやりと笑い、



「なんだ、南條?」



勝ち誇ったように聞く。

最低だ、人の気も知らず。

あたしは柏木さんを睨み、オフィスから飛び出していた。





柏木さんのことなんて忘れたい。

チャラいの?

オタクなの?

得体が知れないから。

それなのに、あたしの心臓は止まってしまいそうな勢いで、騒がしく音を立てていた。