結局、柏木さんからボロが出ることはなかった。
もちろん、中根さんからも。
二人はいつもの様子で話をして、気が済んだ中根さんが自分の席に戻っていった。
その間、二人が気になって仕方がないあたしは、仕事どころではなくて。
ビクビクしたり、顔を真っ赤にしながら二人の会話を聞いていた。
そして……
「柏木さん、相変わらず中根さんと仲がいいんですね」
女性社員がぶりぶりして言う。
見上げると、やっぱり顔を紅潮させ、目を潤ませた女性社員が柏木さんの横に立っている。
惚れているのだろう、好きなのだろう。
いつもこんな光景を目にする。
そして、いちいち胸がズキンとする。
柏木さんが人気者のことくらい、分かっているのに。