「週末、暇になったよな。
どうする?」
中根さんが柏木さんに聞く。
……え!?
あたしは二人を凝視した。
「飲みにでも行きますか」
柏木さんは姿勢を崩したまま、書類をうちわみたいにパタパタさせながら、中根さんに言う。
相変わらずチャラくてふざけている。
そして、そんな余裕のある様子がかっこよくも思える。
「日曜日は?」
「そうっすね……
俺のうちにでも来ます?」
「マジか。じゃ、慧太郎も呼ぶか」
いつも通りの会話。
何も怪しいことはないのに、あたしは気になって仕方がない。
週末……
柏木さんは、何かの握手会が延期になったと嘆いていた。
握手会がなくなって暇になったから、この人たちは遊ぶのか。
そんなことばかり考えてしまう。
まさかね……
まさか、あの夕方の出来事が現実だなんて……