どうせ、あの女性の悲鳴のような声も、あたしに向けられたものだろう。
キラキラ柏木さんの彼女は、地味な南條だと。
柏木さんと付き合うなら、これくらいは覚悟しないといけなかった。
あたしはオタク柏木さんにばかり目を向けていて、会社で起こることをしっかり理解していなかったのだ。
だけど、今さらどうにもならない。
腹を括って仕事をするしかないと思った。
聞かないように、聞かないようにと思うけど……
「うっわー……
信じられない」
女性の引くような声が聞こえる。
どうせ、あたしのことを言っているんだろうな。
だけど、続いて聞こえた言葉に、あたしは耳を疑った。
「カシタカ、マジでオタクなんだ!」