柏木さんと身を寄せ、手を繋いで歩く。
すれ違う人は、柏木さんを見て頰を染めたりした。
だけど、柏木さんのほうがもっと頰を染めていて。
まるで、猫のように目を細めたりした。
「柏木さん。
河田さんと何があったんです?」
ずっと気になっていたことを聞いた。
何となく、何があったのかは分かっていたのだが。
柏木さんは頰を染めたまま、どこか自慢げに言う。
「おおお俺の家に彼女を呼んで、オタクっぷりを見せてあげました」
「……そうなんですね」
「部屋を一目見るだけで、嫌な顔をして去って行きました」
柏木さんはスッキリした顔をしていたけど、何だか少し寂しそうだった。
そして、あたしに告げる。
「やっぱり、オタクって駄目ですね。
嫌われる要素しかないですね」