そんな河田さんに無性にイラついて、あたしは言ってやる。
「柏木さんはキモオタじゃないと思います。
でも、仮にキモオタだったとしても、それだけを理由に嫌うのはおかしいです」
辺りがザワッとする。
きっと、あたしが河田さんに意見したことに驚いているのだろう。
「南條。お前、マジでいい奴だな」
柏木さんがチャラチャラ言うから、あたしは思いっきり柏木さんを睨んでやる。
柏木さんの切れ長の瞳と視線が合い、真っ赤になってしまう。
あたし、やっぱり柏木さんが好きなんだ。
だけど、あたしは柏木さんを許した訳ではない。
もちろん、彼女としてより戻ったつもりもない。
「調子に乗らないでください。
あたしはあなたを許した覚えはありません」
ぴしゃりと言い放ち、持っていた資料を机の上にバンッと置いた。