廊下からも、女性たちの声が聞こえてくる。
「柏木さんと河田さん、悔しいけどお似合いだよね」
「河田さんが相手なら、あたしは何も言えないな」
もし柏木さんの彼女があたしだと知ったら、彼女たちはどんな反応をするだろう。
その前に、あたしは今も柏木さんの彼女なの?
もしかして、河田さんに乗り換えたりされるの?
そんな邪念を振り払うかのように、バルコニーに出るあたし。
おもむろに扉を閉めた。
オフィスから締め出されたあたしには、ただビルの下を行き交う自動車の音が聞こえるのみ。
この静寂にホッとする。
もう、無理だ。
あの席に戻りたくない。