胸がズキンとして、咄嗟に言葉が出ないあたし。
気まずい沈黙があたしたちを襲う。
そして……
「あの……」
ようやくあたしは声を発する。
あたしの耳の中で、鼓動の音が酷くうるさく聞こえた。
「南條です……」
再び沈黙。
そして、あたしが要件を告げようとした時、
「大丈夫か?」
あたしの大好きな柏木さんの声が聞こえた。
今日はやっぱりカシタカモード。
それでも、あたしの胸はきゅんと鳴る。
やっぱりあたしは柏木さんが好きなんだ。
だけど、それと同時に胸も痛くなって。
「大丈夫じゃないです」
あたしは告げる。
インフルエンザは大丈夫だけど、心は大丈夫じゃないの。