みんな、ひどい。

確かに柏木さんはかっこよくて、仕事も出来る。

だからといって、あからさまにあたしは不要という態度を取らないでほしい。







あたしは、スーツケースを引きずり、一人で帰路についた。




柏木さんはきっと、あたしのことを心配もしていないだろう。

河田さんと仲良くして、会議でバリバリ仕事をこなしているんだろう。

朦朧として意識の中、そんなことばかり考えてしまって。

人ごみの中にいるというのに涙がこぼれた。





悔しい。

あたしはどれだけ頑張っても、相手にしてもらえないんだ。

柏木さんからはダメだしされ、河田さんからは見下され、知らない男性からは不要と言われ。

そして……

柏木さんは、あたしなんて無視して河田さんとイチャイチャ。

虚しいよ。

本当に虚しい。





さっきから携帯がずっと震えている。

柏木さんからかもしれない。

無断で帰ったって怒っているのかもしれない。

それでも、今は電話に出る気にもなれず。

あたしはホーム目指して、ふらふらな身体でひたすら歩いた。