「柏木さん、酔っていますね。
酔って真っ赤です」
あたしは冷静に突っ込む。
柏木さんははっとして、テーブルに置いてあった水をおもむろに飲んだ。
その水、あたしが飲んでいたやつなんだけどな。
だけど、取り乱している柏木さんにはどうでもいいようで。
そのパニックを落ち着けるために、あたしはさらに言う。
「仕方ないから教えてあげます。
本当は、柏木さんの連絡先なんて知らなくてもいいんですが」
「かっ……可愛くねぇな、南條は」
そう言う柏木さんは、やっぱり真っ赤で。
あたしは可愛げがないかもしれないけど、柏木さんが可愛いと思ってしまった。
だめだ、あたし、知らない間にこうも柏木さんに惚れていた。
キモいと思ったのに、キモオタ柏木さんだって大好きだ。