柏木さんを見ると、やっぱり顔が熱くなってしまって。
あたしは下を向く。
こんなあたしに、チャラ柏木さんは容赦なく言う。
「来週の出張のホテル、マジで別々にしたんじゃねぇだろな」
「え……?
しましたけど……」
あたしはぽかーんとして柏木さんを見た。
今さら何を言い出すんだろう。
「同じホテルでも、何もしねぇからいいよ」
何も出来ないんでしょ。
「同じ部屋なら、抱いてやってもいいけど」
「ふざけんな」
あたしは、柏木さんを睨んでいた。
手を繋ぐだけで震えるくせに!
だけど、カシタカは怯まない。
ヘラヘラ笑っていて。
カシタカとキモオタ柏木さんは、どうしてこうも別人なんだろう。
きっと、誰もが柏木さんを童貞だなんて思っていない。