それから、何事もなく二日が過ぎた。
柏木さんはオフィスではKMAPのカシタカで。
チャラチャラと仕事をしていた。
仕事に追われ、残業をして帰って。
キモオタの柏木さんに遭遇することもなかった。
「澪。今日は飲み会だね」
通りすがりの慧太郎が言う。
そうなのだ。
今日はあたしのグループと、慧太郎のグループとの飲み会。
慧太郎のグループには中根さんもいて、KMAPが揃うのだ。
それだけじゃない。
もちろん、グループ内にはKMAPを狙う女性もいて。
あたしはきっと、柏木さんに近付けないだろう。
だけど、それでいい。
あたしは遠いところに座り、あたしだけが本当の柏木さんを知っているからと、優越感に浸っているから。
なんて甘いことを考えていた。