_____春、新入生達が期待を込めて
校舎に入っていくのが見える。



「あー、私もあんな頃あったっけー!」

「あったあった。
まぁ、葵はビクビクしてたけどね」


そう言って笑ったのは
親友の 高城 愛永 (タカシロ マナエ)


「えーしてたっけ?してないよ?」

「してましたー
愛永とクラス離れたらどーしよーって」


ケラケラ笑う姿が印象的。

でも、周りからはクールビューティみたいな
イメージをされている。

あんまり、周りの子とは喋らないん
だもんなぁ愛永って。


「…でも、やっぱりいいね!
入学式って!
当事者じゃなくてもワクワクするもん」

「まぁ…分からなくはないかな」


愛永は、ペラ…と本のページを
めくりながらそう呟く


「ほら、春の香りがする!」

「元気ねー」

「おばあちゃんみたいなこと
言わないでよ!ほら、桜が綺麗だってば」



そう言って笑いあったあの日。

全てはあの日から始まったんだ。