「久々の生試合に、私はハイテンションでとことん応援しまくりました……それなのに!」

「まあ、9回表で絶好の逆転チャンス作ったはいいけど点取れなくて、結局負けたんだよな」

「わああああん悔しいよ~~~!!」



総司の冷静な声とは対照的に、テーブルにつっ伏した私は子どものように足をバタつかせる。

せっかく……! せっかく9回に、逆転できるチャンスがあったのに!! 応援めっちゃ盛り上がったのに!! チャンステーマ歌いまくったのにーー!!



「そんでコイツ、試合終了と同時に俺に電話かけて来てさあ。『ムシャクシャする!明日飲みに付き合え!』って」

「ははは……ほんとに野球、好きなんだねぇ……」



呆れたような総司の言葉に、苦笑気味なむっちゃんの声。

そうだよ、野球大好きなんだよ。だから応援にも、熱が入っちゃうの。

好きな球団が勝つとめちゃくちゃハッピーで寝つきだっていいし、逆に負けちゃうと次の日までブルー。そしてその振り幅は、直接球場で観た試合の方がデカい。

特に今回みたいに翌日試合なしってときは、そのブルーな気分が長引くから厄介だ。すぐ次の日にスパッと勝ってくれれば、こんなもやもやあっという間に吹き飛ぶのに。



「ばーか、おまえはいちいち感情的になりすぎなんだよ。まだ日本一かけてる試合ってわけでもねーし、気楽に応援してろよ」

「甘いわ総司……! やるのも応援も常に全力投球ってのは、お兄ちゃんと私の小さい頃からの合言葉だったの!」

「へいへい」