でも、違ったんだ。総司は、そう思ってなかった。

総司の気持ちに気付けなかった自分が腹立たしい。ひとりよがりだった自分が恥ずかしい。

そして、1番は──どうしようもなく、さみしい。


悔しい。情けない。……悲しい。

私たち、いつから“男”と“女”になっちゃったの。



「泣くな……すみれ。そんなふうに、謝るな。……否定すんなよ、俺のこと」



ぎゅっと、切なげに眉を寄せて、総司がつぶやく。

涙で濡れる私の両頬に手を添え、親指で目元をぬぐった。



「そ……、」

「すみれ……」



熱っぽい声で、私の名前をささやく。

総司はそのまま、ゆっくり首を傾けて来て。何をしようとしているのかわかった私は、ハッとして彼の胸を押し返した。



「ちょ……っなに、する」

「チッ、流されないか」

「今なんて??!!」



ものすごい悪役顔で舌打ちし、総司が渋々私から手を離す。

両手で自分の身体を抱きしめるようにし、思わず奴に背を向けた。



「あ、あんた、どういうつもり?!」

「どうもこうも。気持ちを知られた以上、もう今後は下心隠す必要ねぇだろ」

「……!」



し た ご こ ろ だ と ……!!

目の前にいる男の、耳を疑う発言に全身でおののく。

そんな私を見て、当の本人は呆れ顔だ。