外灯を背に私を見下ろす総司の瞳は、鋭いのにひどくさみしげな色をしていた。



「関係、あるだろ。……俺は! 昔からずっと、おまえのことがすきだったんだ!」

「──、」



驚きすぎて、言葉も出ない。

目を見開く私の反応に、総司はますます苦い顔をした。


冗談でしょ、なんて、いつもみたいに茶化すこともできない。
 
総司が言ってるのは幼なじみとしての“好き”じゃないってことは、いくら私でもわかってしまった。

……わかってしまったから、私は、動揺していた。



「え……う、うそ、そんな、の……」

「嘘じゃねーよ。つーか嘘でおまえにこんなこと言うかっつの」



吐き捨てるように言って、私の肩から手を離す。

ようやく視線を逸らした総司は、自分の斜め下を見ながらどこか不貞腐れた顔だ。



「だ……っだって総司、昔から言ってたじゃん! 『俺将来は苗字が“沖田”のご令嬢と逆玉結婚して“沖田 総司”になる!』って!!」

「バッカおまえそれこそジョークに決まってるだろわかれよ!!」

「わかるかバカ!!!」



夜の帳がおりた道端で、いい大人たちの大人げないやり取りが響く。

ああもう、と総司が舌打ちし、再び私と視線を合わせた。