「え。なに、総司」

「いや……別に」



そうつぶやいて一度は視線を外し、けれどまた、ちらりと私を捉える。



「……そういえばさ。すみれ、あれから久我とどうなった?」

「え?」



唐突な質問に、グラスを掴みかけていた手を思わず止めた。

総司は頬杖をついて、じっと私の反応を待っている。



「どうって……まあ、何回か文字のやり取りはしたけど。あんたの失礼な態度を謝罪するために」

「ふーん。そう」



また『ふーん』て。幼なじみであるあんたの非礼をわざわざ私が代わりに詫びてやったんですけど……!

総司の不遜な態度に、ついむっとくちびるを結ぶ。


あの後久我さんには、【あの男は私の幼なじみで、たまたま機嫌が悪かったみたいなんです】と謝罪とフォローのメッセージを送った。

久我さんは、【気にしてない】って言ってくれたけど……普通に考えて、良くないよねあの態度は。

そんで今も反省の色ナシって、ふざけんなアホ総司!



「……こないだからなんなのあんた。いくら幼なじみって言っても、私の交友関係にそこまで口出されたくないよ」



不機嫌な表情のまま、あくまで冷静な声音でつぶやいた。

私の言葉に、なぜか総司は「はあ?」と顔を歪めて頬杖を解く。