「言っとくけど、あんたと親密になる前に撃沈した男子何人も知ってるよー? あの頃気付いてなかっただろうけど、モテてたからねすみれは」

「えぇ……」

「ま、総司くんと比べちゃったら、たしかにパッとしない奴らばっかりだったけどー」



軽~く言ってもぐもぐ枝豆を咀嚼する広香。結構毒舌なとこあるよなこの子も……。

でも、そっか。縁遠いなとは思ってたけど……はからずも総司が影響していたのか。別に今さら、残念だとは思わないけど。

というかそもそもの性格がコレだから、もし総司がいなかったとしてもどうせあんまり変化なかっただろうしなぁ



「あの頃からあんたは、カンペキに否定してたけどさ。私ずっと、すみれと総司くんはいつかくっつくと思ってた。なんだかんだ言っておさまるところはココ、みたいな」

「……また広香は……」



渋い顔をする私なんておかまいなしで、「ていうか今も思ってる」と、広香はあっさり言い放つ。

たぶん、からかってるとかじゃない。これは彼女の本音なのだろう。


……うーん。



「私ちょっと、お手洗い行って来る」

「はーいいってら~」



ゆるい広香の声を背に、私は席を立った。

他人事だからって、好き勝手言ってくれるよなぁ。総司のことは大事だけど、それはあくまで身内というか、家族みたいな存在としてだ。

実家が隣り同士で。物心つく前から、一緒に遊んだりケンカしたりして。

……ドラマとか、マンガとか。男女の幼なじみが年頃になったらなんとなく気まずくなる、なんて話、よくあるけどさ。

私と総司の場合、いくつになってもお互いに対する態度は変わらなかった。だからこれからもずーっと、私たちはこの関係を続けていけるんだと思う。

というか、うん。続けていきたいなって、少なくとも私は、思ってるんだ。