その日の夜だった。

『ただいま。』

「あ、パパだ!おかえり!」

『はは、よしよし。』


父の帰りを喜ぶ私の頭がゴツゴツした手で撫でられる。

『・・・二人ともご飯にしましょうか。』

「うん!!」

『あぁ、今日は木の実をとってきた。』

「わーい!」

父の腕にはたくさんの森の恵みがあった。


ビューッ、ビューッ。


風が強く吹いていた。寒い夜だった。


「・・・寒いね~。」

『あぁ、そうだな。』




・・・探せ、探すのだっ!!

・・・・・・赤子を探せ、探すんだっ!!



風の中に叫び声を聞いた。

「ねぇ、何か今ね、変な声聞こえたよ。」

『変な声?聞こえないぞ。なぁ?』

『えぇ、何も。風の音と聞き間違えたのよ。』

「うん・・・。」




・・・探せっ!!


・・・汚れた親子を殺すのだ!