『闇を滅ぼすのだ。そのためにも赤子と親をみつけだすのだ。』


皆の緊張は最高潮に達した。

少し間を置いて神は静かな声で言った。



『・・・赤子と親を見つけ、すぐに殺せ。』


「は、ははっー!!」

「軍を境界ノ森へ送れーっ!!」

「必ずや赤子を見つけるぞーっ!!」


そうして、すぐに境界ノ森へ光の軍が送られた。


「赤子を探せーっ!」

「おぉー!!」


赤子を抱く母は少し遠くに自国の勇ましい軍の声を聞いた。


「・・・あなた、軍が来るわよ!」

『・・・まずい、逃げよう!!』


二人は踵をかえして走りはじめる。


どうか、どうか見つかりませんように。

風が二人の後を追いかけた。


きっと見つからないわよ、大丈夫。


森はそう話しかけたが二人には聞こえなかった。

とにかく闇雲に走った



・・・・・・・・・。

・・・はぁ、・・・・・・はぁはぁ。


どれだけ走っただろう。


『ここまでくれば大丈夫か・・・。』

「えぇ、多分・・・。」


腕の中の子はグズっている。


「・・・どうしましょう・・・。」


『きっと、大丈夫さ。軍もじきに諦めて帰るよ。』


「いいえ、それはないわ。」


そういって母はうつ向き、途方に暮れてしまった。