その言葉にその場にいた皆が震えあがる。

「・・・や、闇を・・・滅ぼす!?」

『あぁ、その赤子の片方の親は闇の民だな?』

「・・・え、えぇ。」

『つまりその赤子は光の民であり、闇の民なのだ。』

「・・・・・・はぁ・・・。」


皆が神の言ってることが分からなかった。
ただ唖然としている。


『その子や親を罰すれば闇の民を罰することになる。だとしたら、闇も黙ってはおるまい。』


だが、神の言いたいことがだんだん分かってきて空気は今まで以上に重くなる。

  



「・・・かわいそうだよ。」




口を割ったのは神の息子であった。


「かわいそうだよ。その子は何にも悪いことしてないし。」


一同が騒然とする。
だが、あくまで静寂は守られて神の子の声が響く。

「どうして闇を滅ぼすの?闇は光に何も悪いことしてないよ?」

神は息子に微笑んだ。

また、幼いなりに自分の考えを持ち始めたことを嬉しくも思った。

だが、光の世界を将来治める者として教えてやらねばならない。


『闇は汚れたものの集まりだ。闇がなくなれば世界には光だけが満ち溢れ、美しい世界となるんだ。』

「う、うん。」

『よしよし、いい子だ。』

神に頭を撫でられた神の子はそれでも納得しなかった。

けれど、まだ幼い自分には分からないものなのかと口をつぐんだ。