私は、何故かずっと独りだった。
なんにも悪いことしてないのに、独りだった。


それでも、遠い昔に誰かに愛され、自分が望まれて生まれてきたのを覚えていた。




「・・・あぁ、可愛い子。あなたは本当にいい子ね。」

優しい微笑みと耳の奥に残る声。

「あははっ、よしよし。抱っこしてあげような。」

いつかの温もりと力強い腕の感触。



どうして、あんなことに・・・。



私はこの森から出たことがない。
この森の外側には何があるのだろう。


私が独りになってどれくらい経つだろう。
幸せだったんだ。あのときまで。


・・・そう、光の軍が来るまで。




ー15年前・光ノ世界

「・・・光神様!た、大変です!光神様!!」

光の使いは慌てた様子で告げた。

『・・・なんだ。騒がしい。』

光の神は不機嫌に顔を歪めた。

「・・・ひ、光の民と闇の民の間に子が生まれたとの知らせが!!」


光の神は微動だにしなかった。
ただ静かに遠くを見つめている。


張り詰めた沈黙がしばらく続いている。


やがて光神はゆっくりと呟いた。

『・・・そうか。これは良い機会だ。』

「・・・は、はい!?」


『・・・闇を滅ぼす良い口実ができたではないか。』