「殺された二人の子どもである少女は、今なお逃走している模様です!」

神は目を見開く。

周囲の者はざわついている。

『すぐにその子を救うのだ!』


再び光の軍に見つかればその子はすぐに捕らえられるだろう。

それだけは避けたかったのだ。
少女に罪はないのだから。
少女が殺される理由なんてないのだ。

少女を案ずるとともに、いつかの記憶がよみがえる。




ーまだ幼かったあの頃。

まだ神に即位する前のこと。

「君が闇の神の息子だね?」

『うん。君は光の神の・・・。』

境界の森で初めて隣の世界を知った。
光と闇は表裏一体。
支え合ってこそ世の中は上手くいく。
そう父に教えられて、将来は偉大な神になれるように修行してきた。


それなのに・・・。


「僕たちが神になったらお互いに協力して頑張ろうね!」

『うん!約束しようね!』


それからは境界の森でいつも二人で修行した。
闇と光は分かり合える。
今だってそう信じてる。


光の神よ。
忘れてしまったのか?
幼いあの日の、協力して世界を守るという約束を。