『・・・うっ!』

低く短いうめき声と共に飛び散る赤。
真っ白になった私の頭の中が、その赤に染められていく。

何も考えられない。
ただ鼓動が速くなるたけで何も感じない、

体も動かなくなっていた。
何か恐ろしいものに縛られているようだ。


『・・・逃げてっ!』

ママが金切り声をあげた。

その声で、心は縛られているままだけど体は解放された。
何も考えられず、言われるがまま駆け出す。


茂みの中から光輝く人がたくさん出てきた。


「・・・逃がすな!」


そのあまりの眩しさに一瞬目がくらむ。
輝く人達は私を捕らえようとして、追ってくる。


私は懸命に走った。
ほんの数十メートル走ったところで、またうめき声が響く。


どうやらママもダメだったらしい。
それでも私は走った。