澄んだ黒い瞳がわたしを捉えている。

相変わらず綺麗だ。

少し癖のある黒髪、すっと通った鼻筋、形のいい唇、久しぶりにちゃんと見た気がする。



部活前だからか、バスケの格好をしている。

やっぱりかっこいい。



あっ。いけないっ。


数秒見とれてしまったわたしは我に返った。

「あ、う、植木鉢!!」

「俺が持つ」

「いいよ、持てるもん」

「重そうにふらふらしてたけど」

「し、してないです〜」

「あや、昔っから力ねぇからな。非力」

「非力?怪力なんですけど〜」

そう言うと、凌ちゃんが小さく笑った。

「いいから、どこ持ってくか分かんねえから連れてって」

わたしはその一言にきゅんとした。

連れてって、が可愛すぎた。

いつも毒吐く癖にたまに甘える言葉使うからズルい。



本当はこの場を一刻も早く立ち去りたかったけど、おそらく凌ちゃんはそれを許さないだろうから諦めて一緒に植木鉢を持っていくことにした。