言ってしまった。

こう言えば父が困ることを分かっていたのに。


「翼、お母さんはちゃんと翼を愛してるよ。」



「もう、いいよ。お父さん、

私、中学を卒業したら寮のある学校に行くよ。」


つまり、家を出ていくということ。


「これ以上、お母さんに嫌われたくないよ」





その日のうちに、
私は母に憧れて伸ばした黒くて長い髪をバッサリと切った。


わたしを見ない母は、気づくのも遅く。

気づいてもそっけなく、「……いいんじゃないの」
というだけだった。