「お母さん!見て、美術コンクールで賞を取ったの!」
「……そう。分かったから、向こうに行ってちょうだい。」
「……はい。お仕事の邪魔してごめんなさい。」
こっちを1度も見ることなく、追い払われた。
それは、いつもの事でデザイナーの仕事をする母は、仕事を理由に私を遠ざけていた。
抱きしめられたことなんて1度も記憶になんてない。
「あれ、翼、どうしたんだ?賞をとったのか!?さすが、私達の娘だ!
お母さんに見せたか?きっと、喜ぶぞ!」
部屋を出た私に話しかけてきたのは父で、私を可愛がってくれた。
こうやって、なぐさめようとしてくれる。
でも……、
「お母さんは、私のことが嫌いなんでしょう!?」
現実を知っているから。